1998年の外為法改正で、誰もが外国為替市場に参入することができるようになりました。しかし、狭い意味での市場の構成メンバーが銀行を中心とする金融機関であるという点では、法改正前と大きな違いはありません。
1 外国為替市場はどこにあるのだろう
~外国為替市場は目に見える形では存在しない、取引は情報通信機器や電話で行う
ときどき、「外国為替市場を見たい」という人がいます。卸売市場や生鮮市場は、そこに行けば魚や野菜の売買を見ることができますが、外国為替市場は見ることができません。なぜなら、外国為替市場というのは、目に見える形でどこかに存在するというものではないからです。
外国為替市場は、以前はテレフォン・マーケットと呼ばれて、電話のやり取りで取引をしていました。しかし、最近では、通信端末を使用するといった、電子的な通信ネットワークを使って取引をするようになりました(スクリーン・マーケットということもあります)。
つまり、外為市場は急速にテレフォン・マーケットではなくなったのですが、基本的な仕組みはテレフォン・マーケットと同じです。プロがどこか1ヵ所に集まって売買しているということではないのです。
テレビのニュース番組などで資料映像として映し出される、電話を何本も抱え、円卓のような大きなテーブルをまん中に、何か札みたいなものをやり取りしているところを外国為替市場と勘違いしている人も多いのですが、これは、為替ブローカーの社内であって取引所ではありません。
2 外国為替市場の構成メンバーは誰だろう
~かつて市場参加者は限られていた。いまでは銀行以外の者も参加できるが……
1998年4月に新しい「外国為替及び外国貿易法」が施行され、日本でも銀行以外の者同士で外国為替取引を行うことができるようになりました(旧法は「外国為替及び外国貿易管理法」という名称でした。1998年から「管理」の文字が外されたわけです)。それまでは当事者の一方が、大蔵大臣(現在の財務大臣)の免許か認可を受けた銀行でなくてはなりませんでした。
当時、狭義の東京外国為替市場というのは、外国為替公認銀行とブローカー、そして日本銀行の3つが参加者だったわけです。もっと広い意味での参加者には、証券会社、商社、生命保険会社、損害保険会社、一般事業会社、個人などの一般顧客があります。実は、この構図は基本的には1998年の法改正以降も変わっていません。
たとえば、生命保険会社が狭い意味での東京外国為替市場に1998年4月以降に参加したかというと、答えはノーです。どうしてでしょうか。
狭い意味での市場参加者になると、クォート(見積もり)をしないといけないという義務を負わされることになります。それを嫌って、法改正以降も狭い意味での市場参加者になりたいと手をあげた業者はいないということなのです(米国などでも、規制緩和後、実際に銀行間市場に参入した銀行以外の会社はほとんどありません)。
