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第4章 外国為替取引の仕組みと構造を知っておこう-6

フォワード・レートを計算してみよう
~フォワード・レートは市場で取引されているスポットとスワップから計算される

 では、フォワード・レートの計算を、例をあげて説明しましょう。
 市場で取引されているスポット・レートとスワップ・レートを使ってフォワード・レートは計算されます。
 2通貨の金利にも、それぞれ借りるレートと貸すレートがあるので、スワップ・レートにもビッド・レートとオファー・レートがあるということになります。

例1 顧客が銀行に対して、1ヵ月先渡しでドルを売る場合
 スポット・レート    $1=115.40-50円
 1Mスワップ・レート  $1=54-53銭(1Mは1ヵ月先という意味です。1ドルあたりのスワップレートです)
 先物のレートが、ディスカウント(割引)になるか、プレミアム(割増)になるかは、当該国間の金利差で決まっています。
 金利の高い国の通貨は、低い国の通貨に対してディスカウントとなります。先に述べたように、現在は、米国のほうが日本より金利が高いので、ドルは円に対してディスカウントとなっています。
 $1=115.40-0.54=114.86円
 が1ヵ月先渡しで顧客がドルを売るときのレートとなります。
 逆に、顧客がドルを買う場合は、
 $1=115.50-0.53=114.97円
 です。
 ついでながら、銀行のクォートする1Mフォワード・レートは、$1=114.86-97円となります。

例2 顧客が銀行に対して、1ヵ月先渡しでカナダドルを買う場合
 スポット・レート    $1=115.40-50円
             $1=C$1.1335-40
 1Mスワップ・レート  $1=54-53銭
             $1=C$09-10(0.0009-0.0010カナダドルの意味です)
 この場合、顧客は1ヵ月先渡しの「カナダドル買いドル売り」と「ドル買い円売り」の取引を行うことになります。ドルはカナダドルに対してプレミアムで(C$09-10ではなく、C$+09-+10と表記されていることもあります)、1ヵ月先渡しのドル売りカナダドル買いレートは、
 1ドル=1.1335+0.0009=1.1344カナダドル
と計算されます。一方、ドル買い円売りのレートは、$1=115.50-0.53=114.97円です。
 したがって、1ヵ月先渡しのカナダドル買い円売りレートは、
 C$=114.97÷1.1344≒101.35円
 となります。
 逆に、顧客がカナダドルを売る場合は、
 C$1=114.86÷1.1350≒101.19円
 となります。
 ついでながら、銀行のクォートする1Mフォワード・レートは、C$1=101.19-35円となります。

例3 顧客が銀行に対して、1ヵ月先渡しでポンドを売る場合
 スポット    $1=115.40-50円
         £1=$1.9500-10
 1Mスワップ  $1=54-53銭
         £1=$04-03(0.0004-0.0003ドルの意味です)
 基本的な考え方は同じですが、ポンドが「かけ算通貨」(ニューヨーク・ターム表示の通貨)であることに注意する必要があります。
 たとえば、ドル円は1ドル=○円と表示されます。1ドルがいくらかと表示されているのです。カナダドルやスイスフラン、シンガポールドルなど、多くの通貨はこの表示方法です。
 しかし、ユーロや英ポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドルの場合は、たとえば1ポンド=○ドルという表示方法がとられていますので、ユーロやポンドの場合は、計算がその他の通貨と違って、かけ算します(こうした通貨をかけ算通貨と呼びます)。
 なお、ポンドはドルよりも高金利になっています。
 この例では、
 £1=(1.9500-0.0004)×(115.40-0.54)
    =1.9496×114.86
    ≒223.93円
 となります。
 逆に、顧客がポンドを買う場合は、
 £1=(1.9510-0.0003)×(115.50-0.53)
   =1.9507×114.97
   ≒224.28円
 となります。
 ついでながら、銀行のクォートする1Mフォワード・レートは、£1=223.93-28円(223円93銭-224円28銭の意味です)となります。

◆ 為替予約の変更
 顧客が、締結した為替予約を当初結んだ決済日より遅らせたり(ロールオーバーと呼びます)、早めたり(ロールバックと呼びます)することを「為替予約の変更」といいます。

例4 $1=113円で、先渡しのドル売り予約をしていた顧客が、決済日から1ヵ月の延長を申し込んだ場合(決済日の2営業日前に依頼したとします)
 スポット    $1=115.40-50円
 1Mスワップ  $1=54-53銭
 この場合、銀行の側から見ると、顧客からのドル買い予約が消滅し、1ヵ月後に新たにドル買い予約が発生するため、銀行はポジションを調整する必要が出てきます。そのため、市場で「ドルを買って、先でドルを売る」というスワップを行わなければなりません。当然コストがかかることになりますが、そのときかかるコスト(1ヵ月後のビッド・サイドのスワップ・レート分、ここでは54銭)は顧客が負担することになります。
 さらに、為替予約の変更に関して注意することは、円資金コストです。
 たとえば、この例でいえば、銀行がドルの直物買い先渡し売りのスワップを組むときに、スポット・レート(115.40円)と予約レート(113.00円)との差にかかるコストが円資金調達コストです。
 この場合の差である2円40銭は、1ヵ月間の円資金の借り入れ増を意味することになり、この分も予約変更に伴うコストとして顧客が支払うべきものです。
 次のように考えるとわかりやすいでしょう。顧客と銀行が差金決済をするはずだったのが1ヵ月先送りになったと。すると、銀行は入ってくるべき2円40銭が入ってこず、バランスをとるために資金を外からもってこないといけません。
 つまり、金利が発生するわけです。いま、円を借りる金利が年率1%とすると、2円40銭の1ヵ月分の金利は約0.2銭となります。これも新しいレートに算入されるべきです。
 結局、
 $1=113.00-0.54-0.002=112.458円
となります。
 円資金プロフィット(銀行が支払うケース)が発生する場合もあります。
 もちろん、ごく短期間の変更であれば、ほとんど修正の必要もないため、無視することもあります。

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2007年04月05日 12:04に投稿されたエントリーのページです。

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