3 相場予測とは何だろう
◆ 相場変動を読むとは?
予想の目的は人によって違います。有名な人の発言であっても鵜呑みにしてはいけません。
昔、ドルが高かったころ、ある研究所が1ドル=120円になった場合のシミュレーションを出しました。その報告書は、1ドル=120円になったら日本経済はダメになってしまうというもので、だから1ドル=120円という円高はあり得ないと結論づけました。たまたま120円という水準を提示しただけで、円高予測をしたわけではありません。その研究所が円高を当てたとするマスコミは不勉強だと思います。
では、いったい何を信じればよいのでしょうか。発言者の真意を考えることです。彼はポジションを持っているために引きずられているのかもしれないからです。はずれかかっているのを承知しながら、立場上、同じことを鸚鵡返しにいっているにすぎないのかもしれません。
相場は、社会現象が対象です。たとえば、自然科学は試験管のなかに実験対象があって観察者はそれを外から眺めていますが、社会科学は観察者自身も試験管のなかに入ってしまいます。ポジションを待ちながら問題を考えていきますから、自らの立場の影響が予測に出てしまうのです。デルフォイ法がコントラリー・オピニオンとして使用できるのもそのためです。
◆ 真剣に考える
宮本武蔵の『五輪書』に、「物の景気ということは我が智力強ければ必ず見ゆる所なり」という言葉があります。この場合の物の景気は経済ではなく、誰かが自分に打ちかかってくる気配といったことでしょうが、深い洞察力があれば必ず気配はわかるという意味です。
もちろん、宮本武蔵の言葉は、何でもかでも座禅を組めばひらめくというような意味ではありませんが、難しい数式がわからなくても真剣に考えれば経済学の本を読むことはできます。
◆ ビギナーズラックとは、直観とは
初心者には先入観がありませんから、おそらく素直なのでしょう。高い確率でうまくいくと思います。少しばかり経験を積むことで、かえってうまくいかなくなることもあります。ゴルフの川柳に、「ビギナーによってたかって嘘教え」というのもあります。
直観は筋道立ててじっくりと考えるのではなく、いままでの経験から一瞬のうちに結論を引き出すことで、これも大事です。というのは簡単で、いろんなマーケットの本にもそのようなことが書かれています。けれども実際問題として直観が信じるに足るかどうかはなかなか難しい問題です。
ご参考までに述べますと、『マネーの公理』という本には、直観が使えるかどうかというテストの方法が書かれています。「直観は説明できるのであれば信頼できる」とあり、その問題について、長らく不断に情報を収集し分析しようとしてきたかと自問して「ノー」であれば、その直観は使えず、忘れたほうがいい、と述べています。
◆ 他人の予測
マーケット予測と経済予測は若干違うということを念頭においておく必要があります。神様のような立場でものを考えるという方法もありますが、他の市場参加者が上昇と考えているか、下落と考えているかを考えていくのもマーケットを予測していく実践上のポイントです。
マーケット予測では、他の人の予測を別の人がどう予測するかを予測するというのがコツです。ケインズの美人投票のアナロジーの考え方です。それをどう予測に組み込んでいくかが難しいのですが。