黃 日本にいる間に、いろいろインタビューや質問を受けましたが、一番多いのは、「中国経済はバブルじゃないですか?」というものでした。
潘 来年の北京オリンピックまで……とか、2010年の上海万博まで……とか、いろいろなことを言う人がいます。(笑い)
「いま中国がバブルかどうか、もし株価など急落したら日本のようになるか」とは、私も、よく聞かれます。
黃 もちろん、そうかとも思わせる部分もなくはないのですが、そうした意見の背景は、以下のようなものです。
① スピード違反。(笑い)
② 水準がすでに高すぎる。
③ 個人投資家の比率が高く、危ない。
④ 赤字企業まで上昇している。
しかし、私は、基本的には、バブルという議論は的を射たものとは思いません。
中国経済は、確かに過熱気味だが、言われるほどバブルではない。崩壊する可能性がないと思う。
楽観的な意見の背景は、以下のようなものです。
① 企業収益の向上。
② 制度改革の恩恵が株価上昇につながっている。
③ 新しい会計制度の影響が出ている。
④ 元の切り上げは、国内資産に有利。
というものです。

<黄先生と林先生/ホテルロビーにて>
私も、基本的には、小さなクラッシュを乗り越えていくほどの成長を続けているということです。
株式市場が万一、一時的にクラッシュがあったとしても、その影響は限定的です。
その理由は、①中国の現状が87年バブル前の日本と大きく違うということです。例えば、一人あたりのGDPは、当時の日本3万ドルでしたが、今の中国はただの2200ドルです。
林 そうですね。中国経済の規模は小さいので、率で考えると大きくなります。
黃 中国まだ成長期なので、株式市場の下落を経済成長でカバーできるということです。また、②中国のいまの株式市場(A株)の投資家は主に国内の個人投資家なので、下落したとしても日本のように銀行の不良債権にはなりません。そもそも、株の7割は流通できません。ほとんどは国家が持っていて、流通性がある株は3割ほどです。株の流動性は高くないのです。2年前から制度を改革して、理論的にすべての上場企業の株は取引できるようになりました。
だから、先ほども述べたように、会社の経営がよくなってきているという面もあります。中国の株式市場は健全な市場だと思います。
中国は、やるべきことを、つまり、先進国に追いつくべく、経済活動をしているということです。オリンピックがあるから発展するというのは、そもそも無理があります。
潘 巨人が優勝したから、阪神が優勝したから、経済効果が……と同じで(笑い)、あまり意味はない。リーズ・アンド・ラグズを起こしているだけですよね。
黃 そうです。本質的な成長とは別の話です。
先進国に追いつくべく、やるべきことを、例えば、地下鉄とかを考えてみてください。例えば、ニューヨークや東京には、ほとんど地下鉄の建設は必要ないでしょう。建設しても、その効果は限定的でしょう。しかし、例えば、上海だと、内需拡大に直結する。そういうことです。
潘 地下鉄を例にしてみても、まだまだ伸びていくということですね。
不動産市場は、いかがでしょうか。値段が上がって、バブルではないかという意見は根強いものがあります。
黃 不動産が上がるのは、いろいろな意見があります。
中国の不動産は、今、80年代生まれの人たちの結婚による需要があります。
潘 日本の団塊の世代みたいに人口の多い世代が結婚の時期を迎えているわけですね。
親が買うという文化もあります。
黃 今の、中国は都市化になってきている。そして、銀行の金利は低い。実質はマイナスです。
潘 物価の方が追い抜いてしまっている。
黃 したがって、多くの資金は株とか不動産とか、高い収益を求めて動くということになります。
金融商品の品揃えも不十分ですから、ますます、そうなります。
林 順番が逆になりましたが、現在の中国の経済の状況をどう見ておられますか?
黃 中国の経済成長率は統計局の発表より高いと思います。
林 10%以上よりももっとさらに?
黃 そうです。例えば、上海とかは中央の目標に沿って動いていますが、例えば、東北や西の県では、地方政府が抑えられないくらいの成長が続いています。これも、もともと出発点が低いから、率としては大きくなります。全国への影響は小さいとしても。
林 抱えている課題はありますか?
黃 いろいろ問題はあります。たとえば、対外依存度が高い。貿易黒字が大きくなってきていて、だから、貿易摩擦、経済摩擦を起こしやすい。環境の問題もあります。特に、西部の内陸、東北地方では問題です。先ほども言いましたが、地域の格差をなくそうとして、その結果、環境悪化をもたらしている。これは深刻な問題です。
中国経済の高い成長率ができると思う。バブルはあまり心配していない。一番心配なのは環境問題です。経済の発展の目的は、人間の生活の水準を上げることですから。
潘 今日は、どうもありがとうございました。