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「まゆか・FXデビュー」、「為替の仕組み・読み方」に続く初心者シリースの第三弾「テクニカル分析入門」堂々スタート!
テクニカル分析、チャート分析の解説に入る前に、林先生がなぜテクニカル分析を勉強するようになったのか、その経緯を述べていただきます、これからテクニカル分析を勉強する人には必読です!!
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私がテクニカル分析を勉強するようになったのは、メーカーから保険会社に転職して、為替ディーラーとなり、半年ほど後のことでした。当初はビギナーズ・ラックで儲かったのですが、背骨も無いまま取引していたわけですから、やがて損が出始めたためです。
上司からは入社時点で、「チーム内に一人はテクニカル・アナリストが必要だから、テクニカル分析を勉強しろ」と言われていましたが、まさかグラフで将来が予測できるとは信じられず、無視していました。
次第に負けが込んできて、そうなると転職の身でもあり、言う通りにするしかないと考えて、勉強を始めたのです。今にして思えば、その時期に失敗していてよかったと思います。
これが勉強を始めると意外に面白いのです。「テクニカル・アナリストはファンダメンタルズのわからない馬鹿か、勉強嫌いの怠け者」という悪口も耳にしましたが、なるほど、「馬鹿でも理解できるほど簡単で、怠け者でもいったんマスターすれば後々楽に使いこなせるほど普遍性の高いものである」というのも真理だなと、逆に改めてテクニカル分析の持つ特徴に感心したりしたものです。
斯界における最高のエコノミストであり、テクニカル・アナリストであった故・本郷元秀氏に師事したことも幸運でした。「予測のうち何割がテクニカルで、何割がファンダメンタルか」と私が尋ねると、「考えたこともない。同じものを見ているだけでしょう」との答えが返ってきました。分析の結果、予測が一致しないのは未熟だからだと言われた気がしたものです。
先生の発言の真意は、いずれの技法においても完成度を高めよということだと私は受け取りました。結局、どちらも完成するとゆうことがなく、補完する必要があるということかもしれません。しかし、あるいは、テクニカルの完成度を高めていけば、ファンダメンタルズは不要ということになるのでしょうか。あるいは、結局、どちらも完成するということがなく、補完する必要があるということになるのでしょうか。
RSIやDMIなどの技法を開発したことで知られ、テクニカル分析の中興の祖であるJ・W・ワイルダー氏にも同様の質問をしたことがあります。
彼はもともと工場を設計するエンジニアでしたが、不動産業に転じ、年齢的には遅くマーケットの世界に入ってきました。その彼が最初に考えたことは相場の数学的処理だったといいます。
というのも、ファンダメンタルズは商品によって異なりますし、時間とともに変遷しますから、理解し実践するまでにかなりの時間がかかります。
一方、テクニカル分析はファンダメンタル分析と比べると普遍性が高く、時間の無駄が省けると考えたのでした。
「ファンダメンタルはいっさい見ないのか」という私の質問に、「有効だと思うが、個人的にはテクニカル分析しか用いていない。それで十分間に合う」と答えてくれました。これはこれで卓見というべきでしょう。
また、「私はファンダメンタリストだから、テクニカル分析は使わない」と広言する人がいます。しかしながら、これは自らを二流のファンダメンタリストだと宣言しているのに等しいのです。
現実には、今やテクニカル・アナリストの存在は市場で無視できないほどであり、その存在自体がファンダメンタルズだからです。かつて上司が「チームに一人はテクニカル・アナリストが必要」と言ったのはまさしくこの点にあったのだと思います。
出版社からの依頼は、テクニカル分析の入門編をわかりやすく、網羅的に、かつ実戦的に、というものでした。その意図をどこまで満足させることができるかはわかりませんが、私なりに考えた枠組みで話を進めたいと考えています。多少、普通のテクニカル分析入門とは順序や内容が違うものとなるかもしれません。
「プロローグ テクニカル分析への招待」
1 テクニカル分析への入り口
相場の変動要因はいろいろある
<相場に介在する人間の欲望は計量化が難しい>
相場の変動要因については、さまざまな名論卓説があります。しかし、私たちにしっくりこないものが多いのはなぜでしょうか。
その多くが経済学的なアプローチにのみ終始しているのが理由の一つでしょう。相場が経済学のみを前提とするような理由によって動くとは誰も考えていません。にもかかわらず、ほとんど全員が全員、ここからアプローチを開始しようとします。
政治・地政・軍事面からもアプローチした総合的な説がないのは不思議なことです。あっても、単なる思いつきにすぎず、部分を取りあげて拡大してみただけというものが多いものです。もっとも、政治・地政・軍事などは計量化し難いという問題もありますが。
アメリカのある政府高官が「経済学は予測のための学問ではない」と言っていましたけれども、意外にも当然のことを私たちは忘れているのではないでしょうか。
かつて、メーカーで原価管理を担当していたときに、事業部の損益を概略計算できる公式を作っている事業部長がいました。賃金上昇・材料費・前年の損益など変数が二〇項ほどあって、それぞれに過去の経験から得た係数を掛けて計算するのです。彼はエンジニア出身でしたが、プラントもので複雑な事業形態だったにもかかわらず、その実用性に驚いたことがあります。
相場も同様に扱うことができないかと考え、いろいろとシュミレーションしてみるのですが、どうも容易ではありません。
同様の方法で、たとえば、経済指標の予測を出すことは相場を予測することに比べると比較的簡単でしょう。では、どうして、外国為替相場や株式相場への適用は難しいのでしょうか。
外国為替相場を求める式の中で変数として扱われる経済指標どうしの間にマルティコリニアリティ(重共線性。重相関の関係の中に強い相関があること。ある変数が形を変えたものが別の変数として再登場すると予測式が無意味となる)が存在するからです。先に述べたように、政治・地政・軍事なども考慮する必要があります。
さらに、相場には欲望というものが絡みます。これを計量化することは、現代の科学レベルでは困難でしょう。
テクニカル分析の簡単な歴史は票をご覧いただくとして、外国為替相場でテクニカル分析が一般的になった経緯をみておきましょう。外国為替相場でテクニカル分析が一般に使われるようになったのは1980年ころからです。その背景には当時、世界の大勢を占めていたファンダメンタル分析に対する失望感が出てきたことがあります。1981~2年は、ファンダメンタル分析に基づいて円高の予測が行われていたのですが、実際には相場は大幅な円安となり、ファンダメンタル分析を補完する分析手法が求められるようになったからです。
外国為替の世界でも相場動向や予測は一部のエコノミストの専売特許ではなくなりつつあり、テクニカル分析の有効性をどう考えるかという立場は違っても、チャートを無視して相場を考えることは難しくなってきたといえます。テクニカル分析を利用している市場参加者が増えているのは確かでしょう。
3 テクニカル分析と微分の話
テクニカル分析は理由探しをやめること
<グラフを見て判断するのがテクニカル分析>
ここで少し話題を変えて微分の話をしてみましょう。微分というと頭が痛くなるという人もいて、私も実はその部類なのですが、話はそんなに複雑ではありません。
微分といっても特別のことをするわけではありません。知らず知らずのうちに使っている自然な考え方です。右ページの上の図を見てください。これを年度別のある地域内の小学校の生徒数のグラフとしましょう。これを見て思ったところを記せと言われれば、「小学生の数は一〇年以上連続して増加傾向にある」と答えるでしょう。来年度の生徒数を予想しなさいと言われたらどうしますか、わからないと言うのも1つの答えでしょう。しかし無理にでも考えよというのであれば、棒グラフの頂点を結んでいって、来年度も同様のペースで生徒数は増えそうだと答える人が多いでしょう。いうことがわかります。
これが下の図のようですと、「生徒の数は増加傾向にあったが、3年前からは減少傾向にある」となります。生徒数はグラフを見る限り来年度も減少しそうな気がします。
これは、実は微分の考え方を取り込んで物事を解釈しようとしているのです。グラフの頂点の変化、あるいは、接線の傾き具合を見て傾向を読みとっているといえます。さらに注意して見ていくと、まだ伸びが続いている時点でも、トレンドの方向性は変わっていないものの伸びに勢いがない、ということなどを見てとることができるのです。
このグラフがある国の経常収支であったとしても同様の見方ができます。外国為替相場や株式相場であっても同じです。
人間は常になぜという理由を考えたがります。その理由を探すのがファンダメンタル分析であり、理由探しはやめてグラフを見て判断しようというのがテクニカル分析なのです。
人間の理性に訴える説得力に差はあるものの、実は予測の精度という点では、両分析手法にほとんど優劣はないともいえます。
ファンダメンタル分析といってもグラフをまったく使わないわけではありません。たとえば、経常収支や失業率の予測をするときに使うこともあります。予測の段階では使わないにしても、積み上げて計算した予測結果が妥当かどうか、過去のデータと並べてみて、乖離が異常だと、積み上げ計算を見直すという作業をするはずです。もう一段踏み込めば、価格動向にだって同様の発想は応用できるはずです。できない理由はありません。
テクニカル分析的な見方は予測の簡便法として一般に使っているやり方なのです。
また、われわれは科学者の目も持っていなければなりません。イギリスの化学者ボイルは「科学者は疑わなくてはならない」と言っています。相場分析も同じで、異なった側面からのアプローチを忘れてはなりません。
~次回(「テクニカル分析とチャートの関係は?」)へ続く~
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「プロローグ テクニカル分析への招待」
vol.1
1 テクニカル分析への入り口-相場の変動要因はいろいろある
2 テクニカル分析の歴史と現状
3 テクニカル分析と微分の話-テクニカル分析は理由探しをやめること
vol.2
4 テクニカル分析とチャートの関係は?-チャートはテクニカル分析のスタートライン
vol.3
5 説明できないものを大切にしよう-テクニカル分析は非合理な発想も含む
vol.4
6 テクニカル分析vs.ファンダメンタル分析-対峙するのか、同源なのか
vol.5
7 アンチ・チャート論について考えてみよう-テクニカル分析に対する偏見・誤解に答える
vol.6
8 テクニカル分析の特徴-重要な特徴が二つある
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