「まゆか・FXデビュー」「為替の仕組み・読み方」に続く初心者シリースの第三弾「テクニカル分析入門」堂々スタート!

 テクニカル分析、チャート分析の解説に入る前に、林先生がなぜテクニカル分析を勉強するようになったのか、その経緯を述べていただきます、これからテクニカル分析を勉強する人には必読です!!


「プロローグ テクニカル分析への招待」

5 テクニカル分析vs.ファンダメンタル分析

  対峙するのか、同源なのか


<ファンダメンタル分析は演繹法、テクニカル分析は帰納法>

 たとえ話ばかりで恐縮ですが、テクニカル分析とファンダメンタル分析の関係は水と油の関係だと考えるとどうでしょう。水と油だからまったく相容れないと考える人もいるでしょう。しかし、もっと違う観点から見れば、同じように液体なのです。
 ファンダメンタル分析とテクニカル分析の関係には、二つの見方があります。
 一つは対峙するという見方であり、もう一つは、相反するものではなく同源であるという見方です。
 私は、ファンダメンタル分析を演繹法的手段による分析、テクニカル分析を帰納法的手段による分析と考えています。つまり、ファンダメンタル分析が経済ファンダメンタルズという一般的事実から、相場動向の予測という特殊事情を説明する演繹的な分析であるのに対して、テクニカル分析は、価格・時間・出来高といった個々の具体的事実から、一般的法則を導き出す帰納的分析であると考えられます。
 たとえば、バブル現象などは、帰納的に考えなくては理解できないでしょう。
 あるいは、ファンダメンタル分析が相場の必然性を追究するものとすれば、テクニカル分析は、それに加えて、偶然性や可能性をも考慮する分析手法と考えることもできるでしょう。
 ファンダメンタリストのいう材料とか見方が時間の経過とともに変わることがあるのは面白い事実です。

<テクニカル分析とファンダメンタルズ分析~2つの見方>


 動物学者によると、動物には身辺のことを概念として整理する能力があるといいます。たとえば、危険なものを個別に判断するのではなく、恐怖という概念でくくって本能的に逃避行動に出たほうが効率的であるわけです。相場も同じでしょう。理由はどうあれ、危険かどうか。テクニカル分析は、こうした概念形成に役立つものと思われます。
 もっと高所に立って考えると、テクニカル分析もファンダメンタル分析も同じものを分析しているだけで、結果も一致するはずだと考えることもできます。結果が違うときは、いずれかの分析が間違っているのであり、未熟なのだということでしょう。微分の話のところで触れたように、行っている作業には大差はないともいえるのです。
 大きなニュースの前にはチャートは無力であるという意見もありますが、どんなニュースも発生とほぼ同時に相場に取り込まれ、相場に取り込まれた瞬間にチャートに織り込まれます。

<一流のファンダメンタリストはチャートが読めるはず>

 テクカル分析は進行であり、宗教であるという人もいます。そういう側面は否定できません。ただし、ファンダメンタル分析でも、何を材料と見立て、どう解釈するかは各自にまかされているわけであり、これも信仰であり、宗教であるともいえます。
 ファンダメンタル分析でドルを買うと意思決定し、買ったところドルが下がって含み損が出たとします。仕方なく反対売買をします。ファンダメンタルズが変わったというときは理解できます。
 しかし、何ら状況の変化がないまま、理由がよくわからないまま相場が動くときもあります。そうしたときに、ロス・カット・ルールやリミットは別として、どういう理由で損切ることができるのでようか。状況が変わっていないなら、ファンダメンタル分析の見方も変わらないはずです。
 「私はファンダメンタリストだからチャートは見ない」と胸を張って言う人がいます。そういう人の相場観はあまり頼りにはなりません。
 なぜでしょうか。テクニカル・アナリストの存在自体は既成の事実ですし、彼によって相場が形成されることもあります。つまり、テクニカル分析の予測それ自体が市場を動かす要因の一つでもあるわけです。この観点からすると、チャートの読めないファンダメンタリストは情報への扉を一つ閉ざしているのであって、決して優秀なアナリストとはいえないのです。
 もっとも、相場には半値戻しなどの言葉があるように、本人はチャートを利用していないつもりの市場参加者も、実は、無意識のうちに、チャートを頭の中に描いているものなのです。

<テクニカル分析はヒストリカル・アナリシス>

 企業業績を調べるのにホリゾンタル・アナリシスとヒストリカル・アナリシスという言葉があります。現状を調査するのがホリゾンタル・アナリシスであり、ホリゾンタル・アナリシスのデータや結果を過去からの経緯として分析することをヒストリカル・アナリシスといいます。
 テクニカル分析はこのヒストリカル・アナリシスに近い発想とも思われます。
 ごく簡単に予測手法全般の話をすれば、一般に、予測手法は二つに大別されます。過去の趨勢から発想する投影法と現在の指標から発想する類推(推計)法です。あるいは、これにモデル計算から発想する計量法を加えて三つとすることもできます。
 「歴史は繰り返す」「過去の傾向は将来に投影する」と考えるのが投影法です。この投影法はさらにタイム・シリーズ(時系列回帰分析)法とコ・リレーション(相関分析)法に分類されます。
 テクニカル分析のほとんどは、投影法、特にタイム・シリーズ法と考えていいでしょう。ファンダメンタル分析はコ・リレーション法や類推法に属するといえます。こうした違いがテクニカル分析とファンダメンタル分析の根底にあるとも考えられます。
 ついでにいえば、ファンダメンタリストにいろいろな水準のアナリストがいるのと同様に、テクニカル・アナリストにもさまざまなグレードがあります。いい分析をするアナリストもいれば、そうではない人もいます。
 ただ、一般的には、テクニカル・アナリストのほうが発想法が均質であることが多いためか、手法が簡単なためか、個々のレベルの差が少ないといえます。いいファンダメンタリストにはなかなかなれなくても、いいテクニカル・アナリストになることはそれほど難しくはないと思います。

<さまざまな予測手法>


<予測手法の分類から見た2つの分析手法>


                         

                            ~次回(「6 アンチ・チャート論について考えてみよう」)へ続く~

「プロローグ テクニカル分析への招待」
vol.1
1 テクニカル分析への入り口-相場の変動要因はいろいろある
2 テクニカル分析と微分の話-テクニカル分析は理由探しをやめること
vol.2
3 テクニカル分析とチャートの関係は?-チャートはテクニカル分析のスタートライン
vol.3
4 説明できないものを大切にしよう-テクニカル分析は非合理な発想も含む

vol.4
5 テクニカル分析vs.ファンダメンタル分析-対峙するのか、同源なのか
vol.5
6 アンチ・チャート論について考えてみよう-テクニカル分析に対する偏見・誤解に答える
vol.6
7 テクニカル分析の特徴-重要な特徴が二つある

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