G7ホスト国の懸念や面子を度外視して円の独歩安が再開している。・・・
決して、ファンダメンタルズを無視した無秩序な動きではなく、グローバルな金利裁定という市場メカニズムを通じて高金利国には通貨高によるインフレ抑制効果、低金利国にはリフレ効果をもたらすのである。
昨日講演を行った春日銀審議委員は、当面の金融政策について、「先行き、特にインフレリスクが認められないなかで金利調整は急ぐ必要はない」と引き続き慎重な姿勢を維持している。
注目されるのは午後の記者会見であり、ユーロ圏から懸念が相次いでいる現在の円相場の水準については「マーケットでの自由な取引の結果出てきたもの」だとして、現状の円安を事実上追認したところであり、低金利が続くと金融政策面からの刺激効果が一段と強まるとして「円安行き過ぎなどのリスクを警戒している」と述べた須田日銀審議委員とは認識が大きく異なっている。
春日銀審議委員は、円安の背景について「金利差に基づいた円キャリートレードや国際収支動向、ヘッジファンドの動向、M&A、各国のファンダメンタルズなど、色々な要素で為替は動いていると思う」と述べたほか、「円安は全体として日本経済にプラスの影響」と円安メリットの重要性に言及している。
つまり、足元の円安は日本のポリシー・ミックス(緊縮財政+金融緩和)と整合的であるとの認識である。
円実質実効レートがプラザ合意(85年9月)以来の円安水準に位置するが、これはインフレ格差を如実に示したものであり、実態経済においては「金利裁定」や「資本取引」を通じて円安をもたらすことになる。
一方、ユーロ圏では昨日のECB理事会でトリシェ総裁は「中期的物価安定へのリスクが現実化しないことを確実にするため、我々は強く警戒(strongly vigilant)していく」と述べ、次回3月理事会の利上げ予告を行っている。
また、インフレは年内に再び上昇する可能性があると指摘し、3月以降も引き締めスタンスを維持する姿勢を示しており、ユーロ圏のポリシー・ミックス(安定成長協定に基づく緊縮財政+インフレ警戒型の金融政策)と整合的なユーロ相場の方向性は下落ではなく上昇という位置付けとなってくる。
ECBが重視するユーロの実効為替レート「ECBインデックス」は02/08時点で104.95と、過去15年の平均レートを4%程度上回っているに過ぎず、年初の高値106.02を下回って推移している。
当局者が問題視するのはスピードであるが、ECBが引き締めバイアスを維持する状況下では「口先介入」以外の選択肢は存在しないことになる。(⇒実弾介入は金融政策と非整合的であるため、投機筋に買い場を提供するだけで逆効果である)
IMM日本円通貨先物市場では、円高進展と共に減少傾向にあった取組高が02/06を境に再び増加に転じている。 このことは、同市場で主導権を握るファンド筋が円ショート・カバーを一巡させ、再び円ショート構築に動き始めた可能性を示唆している。
注目すべき点は、取組高の減少幅が極めて限定的であることと、G7開催前に増加し始めていることであり、主要各国の政策ミックスに基づくグローバルな金利裁定の象徴である円ショート&スイスショート戦略は容易には揺るがないことを示しているといえるかもしれない。







