« 吉田健一郎――みずほ総合研究所 経済調査部 シニアエコノミスト | メイン | 相場における「ツキ」とは何か »

「時間分析」

2007年2月15日

マーフィー

 今回号では、私の具体的な相場分析手法について、特に「時間分析」に絞ってお話をしたいと思います。

 相場のテクニカル分析を行うに当っての主たる要素として、価格、そして時間の二つの分析対象があります。例えてみれば、価格は相場の縦軸であり、時間は相場の横軸と言ったところです。一般的には、相場のテクニカル分析を行うに当たり、価格の分析に主な比重を置かれることが多いですが、それは、市場参加者の大半が価格の上下に関心があるからであり、当然と言えば当然のことです。

 しかし、実は、相場を見る上で忘れてはならないのが、時間の概念です。時間分析とは、相場がどの時期(時間)まで上がる、下がる、動かないと言ったことを指します。この時間分析の世界的権威と言えるのが、日本の誇る一目均衡表の創始者である一目山人翁(本名、細田吾一)です。一目均衡表理論の中には、「時間論」「波動論」「値幅観測論」等がありますが、一目山人翁が特に紙面を割いたのが「時間論」でした。この場で、一目均衡表理論の「時間論」を論ずるにはあまりにも膨大である為に紙面上無理ですが、今回は現実の相場からの具体例を挙げながら、解説したいと思います。

 一目均衡表の「時間論」には、「基本数値」というものがあり、過去に変化した時点を基準に次に変化する可能性のある「変化時間帯」をカウントする上で重要な数値です。基本数値には、「9、17、26、33、42、65、76、129」等々があります。

 さらに、「時間論」には、もう一つ重要な「対等時間」というものがあります。「対等時間」とはある相場が変化、反転してから次に変化、反転するまでの期間のことを指します。すなわち、「対等数値」は過去に変化した時間(日数)と同じ時間(日数)経過後に変化するという考え方です。例えば、20日間上げ続けた相場が反落した場合に、20日後にまた変化するという可能性が高いという読み方です。

 それでは、実際の相場を対象にして、具体的な分析を試してみましょう。ここでは、最も馴染みのあるドル円相場を例として採り上げたいと思います。
 
 第一に、「基本数値」による分析です。
 まず、昨年のドル円安値である108.97円をつけた5月17日から高値122.20円をつけた1月29日までを月足ベースでカウントすると9ヶ月になります。9ヶ月という時間サイクルは、先程の「基本数値」の一つであり、特にドル円相場にて重要な単位す。まさに意味あるタイミングでドル高値を示現してきたと判断出来るわけです。

 さらに、過去7年のドル円相場安値である101.67円をつけた2005年1月からカウントして、今月である2007年2月が26ヶ月目に応答します。一目均衡表理論における重要な「基本数値」である「26」を月足ベースにて迎える点は意味があるわけです。まさに、「変化時間帯」であり、相場の加速、もしくは反転が発生し易い時間帯ということになります。その観点からは、今月に入って、先月につけたドル円高値である122.20円を一旦越えることは、「26」という時間単位からいくと何ら不思議ではないことになります。また、越えたことで達成感が発生し、反落という可能性も大いに出てくるのです。もしくは、2月という今月に大きなドル下げが入るという可能性を秘めているわけです。

 第二に、「対等時間」による分析です。
 まず、週足時間分析からは、1月最終週は重要なタイミングでした。すなわち、昨年の高値119.88円をつけた10月13日の週から、昨年秋以降の安値114.43円をつけた昨年12月5日の週まで9週を経過(日足では38日)。この安値をつけた週から4年振りの高値であり、今年の高値である122.20円をつけた1月29日の週である今週までが同じく9週経過(日足では39日)しています。
 要するに、9週(38日)下げて、9週(39日)上げたわけであり、まさしく「対等時間」となったわけです。「対等時間」とは、一目均衡表理論の中でも骨子となる重要な時間帯の一つであり、大きな時間の節目であったわけです。

 さらに、同じく月足ベースにて、1990年4月の高値160.35円から1998年8月の高値147.64円をつけるまでの期間が101ヶ月である一方、1998年8月の高値から今年1月の高値122.20円までの期間が102ヶ月であり、同じくほぼ「対等時間」となります。トップ・トップサイクルが101~102ヶ月という時間タイミングであったわけで、超長期の時間サイクルからも重要な節目の位置にあるのがお分かり頂けると思います。

 以上から、重要な時間のタイミングが1月最終週に集中していたという点を頭の隅に入れておく必要がありそうです。上記時間分析から言えることは、122.20円をつけたタイミングは中長期の時間サイクルから判断して、当面の天井となる可能性が高いということです。逆に言うと、122.20円を抜けていくと、ドル円相場上昇の大相場が始まると分析することも可能ということです。

 尚、ここで注意すべき点は、時間サイクル分析を行うにあたっては、プラス・マイナス1単位程度のズレは考慮に入れる必要があるということです。
 つまり、サイクルにはオーブ(許容範囲)が存在します。一般的には、サイクルのオーブはその6分の1程度、6週サイクルは、その前後に1週のオーブがあるので、5~7週ということになります。ですから、9週(9ヶ月)は10週(10ヶ月)に延びても、「許容範囲」だとされるのです。もっとも、「許容範囲」と言っても、投資家である皆様ご自身がそれぞれ「許容」出来るかどうかが死活問題であるわけです。
 
 幾ら、サイクル理論的には、オーブ「許容範囲」であるからと言って、その「許容範囲」を許容出来なければ各人にとっては机上の空論となり、百害あって一利なしになってしまうからです。

 その意味では、特に中長期の時間分析によってある予測がなされたとしても、各人のトレード対象時間、即ち、日計りトレードなのか、1週間程度でポジションを手仕舞うのか、それとも、より長い期間ポジションをキープするのかによって、大いに利用方法が変わってくるわけです。私は大半の個人投資家の方々に、時間分析はあくまで参考程度にとどめて、実際のトレードはご自身のトレードモデル・システムに従って実施されることを推奨したいと思います。

About

2007年02月15日 08:30に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「吉田健一郎――みずほ総合研究所 経済調査部 シニアエコノミスト」です。

次の投稿は「相場における「ツキ」とは何か」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。