2007年3月1日
林 康史
先日、人間ドックに行った。追加のオプションで、毎回、腫瘍マーカー(血液検査)の検査をしている。今年は何にしようかと医師に相談したところ、「お客さん次第ですが、あまり意味はないです」との答え。
お客さんという表現にも少し驚いたが、それも道理で、患者ではないのだから、「お客さん」は間違ってはいない。
「では、なぜ、やるのでしょうか?」
「それは、計測できるからですよ。計測できるのだったら、やっておこうかというだけのことで、それが意味をもつのは、限られた状況のときだけです。日本人は、できるのであればやっておこうと思うようです」
私は、リスク管理の話と同じだと思った。
リスク管理について、こんなジョークがある。
――酔っ払いが街灯の下で、落っことしたのであろう鍵を探している。警官がいっしょに探してやるが、見つからない。痺れを切らした警官が、「どこで落としたのか?」と聞くと、酔っ払いは「ずっと向こうだ」と答える。「じゃ、なぜ、ここで探している」「向こうは街灯がなく、真っ暗がりだったからだ」。
これは、米国の大学のビジネススクールで聞くジョークだそうだ。結局、リスク管理は、自分のできるところしかできない……。
もともと、これは、顧客のニーズに合わせて商品開発をしなければならないのだが、結局、自分の作れるものしか作らない……という喩えとして、三十年ほども前からビジネススクールで聞かされたジョークらしい。
リスク管理はもちろん大切なのだが、結局、管理できるリスクしか管理できていないのだ。
腫瘍マーカーの検査も同じことのようだ。核心を突いた検査ではないということなのだ。
とりあえず計る。そのことに意味があるか否かは後で考えるということなのだろう。
血圧も同じ。測っただけで対策を打たないのなら、測る意味はない。測って「異常なし」に満足するのなら、測らないほうがましかもしれない。
テクニカルの1つに、エリオット波動というのがある。良くご存じない方は、ボルトン著『エリオット波動~ビジネス・サイクル』(日本証券新聞社)を是非とも読んでいただきたい(私が日本語版を監修している)が、エリオット波動にも似たような話がある。
「もう何十年と、エリオット波動を勉強してきた」という男に対して、ある人が尋ねた。「で、どうやって取引に使うんですか?」と。聞かれた男は、答えられずに絶句……。
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さて、ドル円。
基本的な見方は変わってはいない。今年(少なくとも今年前半)は1月がとりあえずのドルの天井だったかもしれない。底はいつか。去年が5月だったから、10ヶ月±2ヶ月は、1月~5月ということになる。4月に相場が反転することも多いから、それも考慮すると、4月ごろにドルは底入れするのかもしれない。
これは予測ではない。過去の動きを考えただけの話である。
水準は、先の天底の水準に黄金分割を当てはめれば、111円ローということになる。半値押しだと、113円。
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それにしても、今回の米国株の下げが中国株の下落に連れてのことというのは感慨深い。中国も、とうとう、そこまで来たな、という感じである。1ヶ月ほど前に上海に行ったとき、某銀行の時価総額がシティバンクを抜いたとか、話題になっていたものだったが、世界の株式市場に大きく影響するまでになったのだ。






