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中島精也――伊藤忠商事 金融部門 チーフエコノミスト

中島精也
4月12日

ドル・円相場は日米両国の金融政策運営を考えると、順当にいけば、しばらくはこれまでのレンジ内での動きが続くと予想される。

米国経済はサブプライム・ローンの融資焦げ付き問題がくすぶっているなど住宅セクターを中心に減速傾向にあるが、今年前半から半ばにかけて調整局面を終了し、再浮揚していくのではないか。それにより、多くのFRB関係者の間ではインフレ警戒姿勢が根強い状況の中で、実際に年後半になると次第にインフレ率が上昇してくるかもしれない。だとすれば、足元ではFRBが利下げを実施するとの見方がくすぶっているものの、その可能性は低く、むしろ年後半には再利上げに動くこともあり得るだろう。

 他方、日本では先日、日銀の武藤副総裁が実質経済成長率が2%程度は確保できるとの見通しを述べられていたように、輸出の伸び悩みもあって踊り場を迎えているとはいえ、趨勢的には底堅い成長軌道が続くのではないか。それにより、足元では2月の消費者物価指数の前年比伸び率が石油製品や携帯電話の通信料の値下がりといった特殊要因からマイナスの伸びになったものの、本来的に需給ギャップが需要超過状態になっていることからじきにプラスの伸びに回復してくるだろう。このため、日銀は参院選が終わる8月以降、年内に1回は追加利上げを行うと思われる。

 こうして見ると、日米政策金利差は現在では4.75%と5%近い高水準にあるが、これからしばらくは大きく変わることはなさそうだ。それにより、これまで国内個人投資家が積極的に外債投資や外貨預金、為替証拠金取引に動いていたことがドル・円相場には強力な押し上げ要因になってきたが、これからもしばらくは安心してドル買いを続けることができると思われるため、1ドル=115円の下値の岩盤を下回る可能性は低いだろう。とはいえ、米国経済の経常赤字や対外債務の増大傾向、住宅金融部門に典型的に見られるような潜在的な信用リスクの問題を考えると、120円を超えると金利差のメリット以上に為替リスクが意識されてくると思われ、レンジ内での動きをこのまま続ける公算が高いのではないか。

 ただし、こうした信用リスクの問題は、いかにリスク・ヘッジをしているとはいえ、金融工学が高度に発展した今日ではどこにリスクがあるか、まったく見当がつかないのが実情だ。このため、もしそうした問題が顕在化して連鎖的に波及していくとヘッジファンドによる円キャリー取引の巻き戻しからドル・円相場が110円を超えて急落することになりかねず、それにより個人投資家が投げればさらに下げ幅が大きくなることもあり得るだろう。このリスクには注意を怠れないが、これまでの経緯からFRBをはじめ当局は金融システム不安の拡大を回避するために迅速に動く傾向があるため、住宅バブルが崩壊して深刻な事態が長期にわたり続くことは現時点では考えていない。(4月6日、談)

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2007年04月12日 10:46に投稿されたエントリーのページです。

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