2007年6月7日
林 康史
私は、マーケットに参加するためには、①予測技法、②心理、③運用ルール、の3つを勉強することが必要だと強調してきましたが、まだまだ1つめの予測のやり方を学ぶことが全てだと思っている人が多くいます。
そこで、心理、また、運用ルールをテーマにセミナーを行うことも心がけていますが、時間の制約もあって、なかなか詳細を話すこともできません。
運用ルールのセミナーをしながらも、聴衆には、もっと基本的な、注文(オーダー)の出し方についての知識が必要なのではないかと感じることがあります。例えば、ストップ・ロス・オーダーが執行されたときに、自分が出していた価格よりも悪いことがあることすら理解できていない人もいるようです。リミット(利食いの注文)オーダーではないのですから、当然なのですが、そんなことも知らないというのも、私には驚きです。
実際には、そういう勉強途中の人も参加しているのがマーケットというものなのでしょう。
今回は、マーケットでの注文の出し方について説明しておきます。
指値とか成行といった注文方法についてはご存知だと思いますが、外国為替証拠金取引ではそれら以外にもさまざまな注文方法があります。
最も基本的なオーダーは成行<なりゆき>で、そのときにマーケットにある価格での売買を指示する注文方法です。
あらかじめ価格を指定する指値<さしね>(リーブ・オーダー)も基本的な注文方法です。指値にも通常の指値と逆指値<ぎゃくさしね>があります。通常の指値注文(リミット・オーダー)は「いくらに下がったら買う」「いくらに上がったら売る」という注文ですが、逆指値注文(ストップ・ロス・オーダー)は反対に「いくらに上がったら買う」「いくらに下がったら売る」という注文です。
両者の違いは、通常の指値が逆張りの売買で、逆指値が順張りの売買に対応していることです。つまり、通常の指値は下落トレンドのなかで「安くなったら買う」、あるいは上昇トレンドのなかで「高くなったら売る」という売買です。これに対して、逆指値は下落トレンドのなかで「安くなったら売る」、あるいは上昇トレンドのなかで「高くなったら買う」という売買になります。
ここで重要なのは、通常の指値では損切りができない点です。例えば1ドル=120円でドルを買った場合、118円までドル安になったら損切りしようと思っても、通常の指値では「安くなったら買う」という注文しか出せません。どうしても損切りしたければ、マーケットの値動きをずっとモニターしていて、118円をつけた瞬間に成行で売るしかありません。その点、逆指値はストップ・オーダーとも呼ばれるように、あらかじめ損切り水準を指定しておくことができます。上記の例では、1ドル=120円で買うと同時に、「118円以下になったら売る」という逆指値注文を出しておけば、後はマーケットを見ていなくても自動的に損切りを行うことが可能になります。
ただし、逆指値注文は、マーケットがその価格をつけた瞬間に成行注文として執行されますので、確実にその価格で約定できるわけではありません。マーケットが荒れていて急に価格が動いたようなときには、買手が見つからず、「118円以下」と逆指値したのに、結果的に117円80銭とかで約定してしまうこともありえます。何円何銭以下、何円何銭以上という条件になっても買手や売手がいなければ、買手や売手がいる価格のところまで追いかけての売買となるからです。この点が、指定した価格で確実に約定される通常の指値とは異なります。
逆指値はまた、順張りでの仕掛けにも有効です。例えば、現在のレートが1ドル=119円50銭で、上値の節目になっていそうな120円を超えたらそのままドル高円安方向へ行きそうだと考えた場合、120円10銭に逆指値で買い注文を入れておけば、相場が120円10銭を超えた段階で自動的に買うことができます。なお、このようなときには、同時に下値にストップ・オーダー(例えば「119円で売り」など)を入れておくべきです。
ワン・キャンセルズ・アザー(OCO)とイフ・ダンは、指値と逆指値を組み合わせて使う注文方法です(こういった複数の注文を組み合わせて出す注文をセット・オーダーといいます)。
例えば、1ドル=120円で買った後に、OCOを使って「122円以上になったら売る」という指値注文と「119円以下になったら売る」という逆指値注文を組み合わせれば、どちらの方向に行っても手仕舞いすることができます。このとき、片方の注文が約定されれば、もう一方の注文は自動的にキャンセルになります。
イフ・ダンは、例えば「119円に下がったら買う」という指値を出しておいて、それが約定すれば(イフ・ダン)「121円になったら売る」という指値が有効になるという注文方法です。こうすれば、相場が119円に下がれば新規で買い、その後、ドル高に転じれば手仕舞って利益を確定するという、仕掛けと利食いのセットができあがります。
さらに、OCOとイフ・ダンを組み合わせて注文を出すことも可能です。例えば、「1ドル=120円を超えたら買いたい、そのとき、利食いと損切りの注文もあらかじめ出しておきたい」といったときには、「120円以上になったら買う」という逆指値とともにイフ・ダンで(それが約定した場合に)「122円で売る」と「119円以下で売る」というOCOを出しておけばよいのです。
このように実際のトレーディングでは、マーケットの局面と自らの予測ポジションに応じて、指値、逆指値、イフ・ダン、OCOなどの注文方法を臨機応変に使い分けていくのです。
これらの中には、マーケットや取引所、取引業者によって使えるものと使えないものがあります。例えば、日本の株式市場では最近になるまで逆指値注文ができませんでした。
一般的に言えば、注文方法が多いほど実行できる戦略が増えますから、使える注文方法が多い取引業者を選ぶほうが賢明です。また、業者によって注文の呼び方もいろいろ変わってきますので、それぞれの注文方法が具体的にはどういうものかを事前によく理解しておく必要があります。
なお、注文方法を含めた建玉<たてぎょく>(ポジションのとり方)や運用ルールの詳細については『基礎から学ぶデイトレード』(日経BP社)の第5章、また、『ギャンの相場理論』(日本経済新聞出版社)、『伝説の株必勝法「W.D.ギャンの28鉄則」』(小学館文庫)を参照してください。






