2007年6月14日
外国為替市場では構造的に円安傾向が続きそうだ。内外金利差や成長率格差が引き続き大きいなかで、日本の個人投資家が資金を円預金から外貨に移す流れがこれまで2年間続いてきたが、こうした動きが今後も継続すると見込まれるからだ。日本では1,500兆円もの家計の貯蓄の5割ほどが銀行預金として預けられているが、欧米ではこの比率が2~3割程度に過ぎないので、賃金がそれほど伸びないなかで、これからも個人投資家はより高収益を求めて外貨に移す動きを続けていくと思われる。
ただ気になるのは、株高傾向が続いたなかで世界的に長期金利が急上昇していることから、ここにきて株式市場では調整局面を迎えていることだ。それにより、円キャリー取引が急速に進むことで急激な円高に見舞われるリスクが高まっている。
長期金利が上昇しているのは、長期にわたり好景気が続いたなかで中国を中心に世界的に人件費が上昇していることから、インフレ懸念が出ているからだ。もし本当にインフレになるようだと本格的な円高局面が到来することが考えられるが、さしあたり、弊社では当面はインフレ率が上昇するとはいえ中央銀行が制御でき得る範囲内にとどまると見ているので、これまでの円安基調が転換するとは考えていない。このため、短期的に円キャリー取引の巻き戻しが進むことで株安とともに円高圧力が強まっても局所的なものにとどまり、しかも円高の対象はこれまで大きく上がっていたユーロやポンド、さらには高金利国通貨である豪ドルやニュージーランド・ドル等に限定され、対ドルではそれほど円高は進まないのではないか。急激な円高局面を経ながらも基本的には緩やかな円安傾向が続くことで、年末時点では1ドル=125円程度を見ている。
これまで、米国を中心とする先進国では、中国で安価な人件費を利用して加工組み立てを行い、その製品を輸入することでディスインフレ状態がもたらされ、長期金利の低位安定状態が続いたことで資産価格が上昇し、それにより好景気を謳歌してきた。そうした意味では、中国では人件費が目立って上昇してきており、また人民元も切り上がっているので、そうした状況が綻びを見せつつあるのは間違いないとはいえ、それでも同国経済の高度成長が曲がり角を迎えるまでは円安傾向が続く可能性が高いのではないか。来年に北京五輪を迎えるまでは、一時的な円キャリー取引の巻き戻しが進む局面を経ながらも緩やかな円安傾向が続く可能性が高いと見ている。(6月11日、談)






