2007年7月5日
林 康史
中国の経済問題
昨日、中国の華東師範大学の商学院の院長、黄澤民先生が帰国した。10日ほどの日本滞在のうち、半分ほどをごいっしょしたが、私自身、たいそう勉強になったと思う。
黄先生は中国の政協委員でもあり、政府に政策提提案をするために中国各地を視察することも多いようだが、それらから鑑みるに実際の中国経済は、政府発表の数値よりも高い可能性が高いという。中央政府の目標8%をまったく守れそうもない地方政府は、許可のないまま発電所等の建設を黙認したりしており、それらは統計には出てこないから、実際にはもっと高い成長率になってしまっているのではないかというわけだ。さらに、そうしたことが環境問題を引き起こしている等々、なんとなくわかってはいるものの明確には認識していなかった中国問題を再確認できた。たとえば、25日、来日したその日にNHKラジオに出演し(放送は27日の朝だったが)、バブルなどはどうでもいいこと(中国はそれを乗り越えていくほどの成長を続けるだろうというものだった)で、中国の経済の最大の問題は環境だという黄先生の言葉は印象に残る。
また、中国の外国為替制度にしても、2年前に導入された新制度について、変動幅という表現が誤解を生んでいるのではないかとも述べられていた。ストップ高・ストップ安というほうが正しく認識できるという意見も、なるほどと思わせるものだった。
先生は、学生にも、英語ではなく、日本語を学ぶことを指導し、卒業後の学生の進路が広がったという。そちらのほうが価値があるからということなのだろうが、そうした考え方は、費用対効果を重んじるということだろう。中国の政協委員は、日本でいえば国会議員なのだが、マルクス経済学とは違った、プラグマティズム(功利主義)を感じる。もっとも、共産党員ではなく、民主建国会という党派の会員だというから、当然なのかもしれないが。中国には共産党員でない国会議員が多く存在するということも、再確認した。
黄先生の話は、いずれ、詳しく書きたいと考えている。
石橋湛山のテレビ番組
これも奇しくもというべきか、昨日、NHKの「その時歴史が動いた」で石橋湛山を取り上げていた。湛山は、私が生まれたときの首相で、立正大学の元学長でもあり、金融論の授業もしていたという。中国との国交正常化にも尽力した。
しかし、その番組制作の協力にも立正大学の名はなかった。周恩来との会談時の写真も大学には残っていないらしい。
それはさておくとして、湛山は、経済は思想の壁を破ることができると考えていた。学生には、ぜひ、『湛山回想』(岩波文庫)を読むようにといっているのだが、このコラムの読者にも一読を勧めたい。
魚の獲り方
先日、就職の相談に来た、私のゼミの四年生と話しているときのこと、ひょんなことから相場の話になり、学生が、私に元資を託し運用は一任するから外国為替証拠金取引を代行してほしいと言う。もちろん、真剣に考えての依頼ではなく、軽口の範囲なのではあるが、私は少しむっとしてしまった。
「私がなぜ、君のために運用しなければならないのか」
「先生じゃないですか」
「私の教え子すべてにそんなことはできないだろう」
「してくれてもいいじゃないですか」
「そうじゃない。私がお金を増やしたとして、それが何なのか」
「お金が増えるのだったら、それはそれでいいではないですか」
……
「もういいですッ」
少し嫌な気分になった。今も、その学生もわかってくれているとは思うが、私がやるべきことは、魚の獲り方なのであって、魚を与えることではない、と考えている。
8月2日、日経BPから『基礎から学ぶ 外国為替相場~FXマーケットの仕組みと取引の実際』というタイトルの為替の本が出る。
実は、その本を書いた目的は、魚の獲り方を教えたかったからだ。どこまで読者に伝わるかはわからないが。。。
円安・円高の意味、その背景から、マーケットをどう読んで売買すべきか、また、外国為替証拠金取引の実践までを書いた。いずれ中国語にも翻訳し、出版したいと考えている。
以上






