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小瀬正毅――フィスコ 為替・債券担当アナリスト

 ドル・円相場は米サブプライム問題による信用収縮懸念から8月17日には1ドル=111円60銭に急落した後、23日には117円超まで戻したものの上値を抑えられた。9月7日には8月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比4,000人減少と03年8月以来のマイナスの伸びとなり、しかもそれに先立つ6、7月の増加幅も大幅に下方修正されたことから再び急落し、週明け10日には112円60銭まで下げた。その後、とりあえず市場は利下げ観測から米株価が反発していることもあって落ち着きを取り戻し、いくぶん戻り気味で推移している。

 これまで、外国為替市場では円キャリー取引の解消に伴う円買い戻しの動きが主体だったが、そうした動きはすでに一巡しており、いまでは米景気の悪化を背景に完全にドル売りに“テーマ”が移行している。8月の雇用統計の内容が極めて悪かったことでその流れが決定的になっており、年内にFRBがFFレートを0.75~1%もの引き下げを行うといった見方が市場では主流となっているようだ。さしあたり、18日に開催されるFOMCでは、会合に出席権のあるFRB理事や地区連銀総裁が相次いで金融緩和を容認する発言をしており、それに伴って整合性がとれるようにインフレ見通しを引き下げていることから、利下げが実施されることはもはや確実視されている。ただ、一気に0.5%も引き下げられるとの見方も出ているなど予断を許さない。
 もし引き下げ幅が0.25%にとどまるようであれば、瞬間的にドルは下支えられても、一方で米株価がこれまで利下げ期待で反発していたために失望売りを浴びることで、じきに再びドル安が進みやすい地合いになっていくのではないか。その場合、8月10日の111円60銭を下回ると昨年5月17日の108円97銭が下値の節目になるが、株安が進むと住宅市場もさらに悪化している公算が高く、それも従来のサブプライム問題から「オルトA」や「ジャンボ」に波及している可能性も捨てきれない。それにより多くのヘッジファンドが破綻に追い込まれることで、かなり規模の大きな金融機関も相当なダメージを負うことが避けられなくなるだろう。そのような状況になると前記の109円割れの安値で下げ止まるとは思えず、今年6月22日に124円14銭まで円安・ドル高が進む起点となった05年1月17日の101円68銭まで年内に一気に急落する可能性も出てくるのではないか。
 他方、一気に0.5%引き下げられるようだと、瞬間的にドル安に振れても株価が一段高に向かうことでドル安圧力が緩和されるだろう。大方の予想どおり年内に0.75~1%利下げが行われるとすればまだ0.25~0.5%引き下げられることになるため、ドル安圧力が続く状態は変わらないと思われるが、対円では一段安となっても109円割れ付近で下げ止まるかもしれない。ただし、原油をはじめ原材料高の状況が続いているのに加えて国内労働需給が慢性的にひっ迫しており、そこに中国で目立って人件費が上がっていることや人民元が切り上がっていることから、インフレ圧力が確実に強まっている。そうしたところに積極的に金融緩和政策を推進することで、来年以降、それが顕在化してくることで長期金利が目立って上昇するのではないか。それにより株価や住宅価格がより大きく押し下げられることで、さらに信用収縮状態が強まって金融システムが危機的な状態に陥るリスクが高まることになり、ドル安が一段と大幅に進んでおかしくないだろう。
 なお、信用収縮懸念が高まってからは円キャリー取引の買い戻しが進んだことで、主に対円でドル安が進んだ。これに対し、ユーロ・ドル相場はそれほど上昇していなかったが、足元ではこれまで上値抵抗だった1ユーロ=1.38ドル前後を超えてきたため、これから上昇圧力が強まるのではないか。それにより、対円でもドル安が進みやすくなってくると思われる。(9月12日、談)

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2007年09月13日 12:53に投稿されたエントリーのページです。

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