12月27日
板垣哲史
早いもので、あと2週間で新しい年を迎えることになって来た。
改めて今年の動きを振り返ると、ドル円相場のレンジは、124円12銭から107円20銭と円安のピークは2月と7月に訪れ、サブプライム問題の顕在化で11月に円高の底を迎えた。16円92銭の値幅は、中心レート115円66銭から見て14.71%に相当するが、過去五年間の平均変動幅は、13.8%であることから見れば、やや変動の多かった年でもあった。局面、局面で思い返せば、3月、8月、11月とえらく肝を冷やす場面があったが、変動率から見れば、やや平均を上回る程度だった。
ちなみに過去五年間のドル円のレンジと中心レートは以下のようになる。
高値 安値 変動幅 中心レート 変動率
2007年 124円12銭 107円25銭 16円92銭 115円66銭 14.7%
2006年 119円87銭 108円97銭 10円90銭 114円42銭 9.5%
2005年 121円38銭 101円67銭 19円71銭 111円52銭 19.6%
2004年 114円87銭 101円82銭 13円05銭 108円35銭 12%
2003年 121円86銭 106円74銭 15円12銭 114円30銭 13.2%
五年間平均120円42銭 105円29銭 15円14銭 112円85銭 13.8%
近年、個人の為替証拠金取引によるマーケットへの参入が一段と活発になり、市場参加者の数が飛躍的に増えたことも、ここ五年間、変動幅が以前より少なくなってきている原因のようだ。
これらのデータから来年のドル円為替相場のレンジを予想すると、末尾に結論付けたように、2008年に限り、容易に1ドル100円の壁は破れないことが想定される。
ちなみに、ユーロ・円は149円23銭から169円07銭と19円84銭の値幅で動き、円はユーロに対して史上最安値を更新したが、中心レートから見れば12.47%の変動という事になり、ユーロ・ドルでは1.2864から1.4969と0.2103ドルの値幅で、これもドルはユーロに対して史上最安値を更新し、中心レートから見れば約15%の変動幅であった。ユーロはドルと円に対して歴史的な高値を付けたが、この傾向が来年も持続するかについては、やや警戒する必要があるだろう。
2006年の相場を牽引したのは、各国の金利政策であったが、今年の相場の特徴は、ユーロの躍進と、米国の株価に連動した動きとなったことである。また原油価格の高騰が、相場の局面での判断を大いに狂わしたとも言える。昨年までは、特に日本のゼロ金利をベースにした円キャリー取引が、金融機関も個人も濡れ手で泡のようなうまみがあったが、今年は、見切り時の見極めがきわめて難しくなった年でもあった。その証拠に高金利通貨として最も人気のあるニュージーランド・ドルは27.3%、オーストラリア・ドルは26%も円に対して変動し、中心レートのそれぞれ86円、96円91銭で買い持っても左団扇では、勝てない状況だった。
その最大の原因は、米国のサブプライムローン問題が表面化したからである。恐らく、一部金融機関の破綻も来年初頭には表面化する可能性を否定出来ない状況が迫っているといえるだろう。 そもそも資本自由主義経済は、自由なゆえに常に行き過ぎた好不調の波は避けられず、この波を最小限にとどめるのは世界的な各国の金融当局の腕の見せ所というのが現実である。
今後の動きとしては、何処か大手の金融機関が破綻するのを待ってFEDがROCのような救済ファンドを作ることによって危機を脱するにいたるのではないか。一、二行つぶれないことには「何で銀行だけ助けるのだ。」という声の圧力があって、当局はこうしたファンドを作ることは出来ないだろう。日本の住専問題の時も当局は強い非難を浴びたケースがある。こうした状況を考えるとあと数ヶ月、一喜一憂しながら厳しい金融環境とドル安圧力が継続しそうだ。
為替レートの話に戻るが、四年前の米大統領選の年の変動率は12%であったが、平均よりやや大目の15%の変動幅を想定し、来年の中心レートを110円とすると、来年の最円高は101円75銭、最円安は118円25銭という事になり、100円割れの相場は現実化しないのではなかろうか。前半円高、中盤円安、後半円高で、年末着地は106円前後といったところか。






