01月24日
板垣哲史
FRBが22日緊急理事会を開き米公定歩合とフェデラルファンドレート(短期銀行間レート)を0.75パーセント下げた。今年は新年早々から、原油が100ドルを突破したニュースや米国のサブプライム問題で米国及び世界の主要国の金融機関が底なしの損失を抱えているとの観測で、いつになく不安と重苦しい新年のスタートとなってから未だに希望の光は見えてこない状況が続いている。
この米連銀の対応に対して、遅かったのではないかという批判があるが、ノウテンキの日本の政治家や官僚に比べれば、市場に対しては、サプライズの感もあった。連日のように日経平均はずるずると値を下げ続けており、昨年のピークから日本の株価総額が80兆円も失われた深刻な事態なのに、自民党、民主党の主導権争いが続くねじれ国会では、政治家の誰も日本経済に危機感を持って対応しようとする雰囲気すらないのは残念でならない。ましておとぼけが得意の福田総理では、金融界、証券界の事態を他人事のように見ているかの状態では、絶望的である。肝心の福井総裁も自己中心の性癖が直らず、己の次の就職探しで頭が一杯のようである。
さて、現在の株安、円高はどのようなメカニズムで起きているのだろうか。これは、米国のサブプライム問題で、世界的、特に欧米諸国の金融機関の間で大幅な信用収縮が起き、それが日本の金融機関まで波及しているからである。
なんとなくイケイケどんどんの雰囲気が支配し、だれでも気楽にお金を借りられる信用拡大の状況の中で、まず狙われたのが、世界で最も金利が安い日本国の円である。ほとんどゼロ金利とも言える日本円を国際的投資金融機関が借りて、株や原油や穀物相場、果ては高金利通貨や米国の高利のサブプライムローンに投資し、巨額の利益を享受していたわけである。これらの融資が複雑化した証券化の手法を経ている米国のサブプライムローンがウィルスのように感染しているかもしれないという恐怖の元に資金を引き上げ始めて、投資機関が、証券投資を急激に手控え、まずは世界的に株の現金化に殺到し始めたのが起因している。この流れは、間違いなく天井知らずと思われている
さらに日本の金融庁が融資に慎重になれとの9月の通達によって不動産融資まで止まってしまい、昨年からミニバブルといわれた日本の不動産価格も再び急落している。庶民においてはサラ金規制で、パチンコ屋が窮地に追い込まれている。信用収縮は、アメリカばかりでなく日本国内にもカードローンはじめあらゆる分野に急速に波及しつつある。
一つの証券投資の資金繰りが詰まると、国内外の投資機関は、優良と思える日本株への投資資金も株を売却して現金化し、借入金の返済に宛て、また銀行は、巨大損失覚悟で資金繰りに窮した系列住宅ローン会社のサブプライムローンがらみの資金の補填をせざるを得なくなるのである。
日本の株式市場の株主の63パーセントは外国資本といわれる。本来、彼らのほとんどが、外貨を原資としているなら、株を売って得た円資金を外貨の購入に当てるのであれば、為替市場は、外貨買いとなって円安に振れるはずであるが、外国の機関投資家のほとんどは、低金利の円を借り入れて株価や、高金利通貨に投資していた構図が崩れ、現在の株価下落と円高現象を引き起こしたと考えられるわけである。
ここで登場すべきが資本主義国家を自称する日本政府であり、日銀である。世界の信用収縮の原因は低金利から脱出できない日本政府にもある。急激な円高は、日本経済の頼みの綱である輸出産業を直撃し始めている。
政府が乗り出すための原資は、短期政府証券を発行すればよい。信用収縮を止め、流動性を増す政策を早急に取るべきである。日本株の買え支えに5兆円、ドル買い介入(外為平衡操作)に10兆円規模で不安は治まるのではなかろうか。
実際、過去における為替介入は、四年前の平成16年3月期が直近の最後であるが、この時は、三ヶ月間で15兆円投下してドルを買い支え、103円40銭を死守した記録が残っている。
今こそ、世界の批判を恐れず、ただ、手をこまねいている無策の状態から、勇気を持って日本国民のために、日本国の富を守るために、なりふりかまわず、やれることに全ての手を尽くすことが日本政府の役目ではなかろうか。






