外国為替市場では2月下旬からドル安圧力が高まり、対ユーロでは1ユーロ=1.5ドル手前のレンジ上限を超えて史上最高値を更新していき、対円では1ドル=107円台を中心とする保合いを下放れて101円台まで下落している。米国ではサブプライム問題から多くの金融機関が非常に苦しい状況に陥っており、FRBはインフレ懸念の危険性を認めつつも積極的に利下げを推進し、また資金供給もさらに大規模に行っていくことを宣言している。それにより、18日のFOMCの会合では0.5%の利下げを行うことがいわれていたが、ここにきてFFレートの引き下げ幅が0.75%になるとの見方が強まりつつあることが、足元でのドル安圧力をもたらしているといえる。
ただ、ユーロ・ドル相場についてはレンジ上限を突破してまだ間もないためにさらに上昇していくことが見込まれるとはいえ、ドル・円相場については99年11月・00年1月や05年1月に安値をつけた水準に達しており、非常に大きな節目であると思われることから、この水準をさらに超えて下げていくことは想定しにくい。おそらく、この水準を権利行使価格とするオプションが大量に設定されていると思われることから売り方がかなり強力な防戦買いに出てくると思われることや、個人投資家も根強く買い拾ってきているからだ。それだけに、もし割り込んで90円台に突入するとさらに一気に大きく下げていく公算が高まるが、順当にいけばその可能性はかなり低いと思われる。実際、米欧5中央銀行による資金供給の拡大が発表されると大きく戻していくあたり、この水準は強力な下値支持であり、いますぐ割り込んでいく可能性は低いことを裏付けている。
また、米国経済も足元ではリセッション入りが懸念されるほど悪化しつつあるとはいえ、さしあたり足元の1-3月期で底入れするのではないか。現在ではモノライン(金融保証会社)の経営問題が焦点になっているが、これを乗り切るとサブプライム問題はひとまず峠を越すと思われる。また、4-6月期になるとブッシュ政権が策定した景気対策が実行されて小切手が家庭に配布されることや、8月に北京五輪を控えていることもあり、ある程度は個人消費が浮揚しておかしくない。悪い内容の景気指標悪の発表が4月ごろまで続くとすればそのころにかけてもう一度101円台の安値をつける可能性があるが、その後は五輪が開催される7~8月ごろにかけて反発していくと見ている。ただし、米国経済は資産バブルが崩壊していく途上にあり、長期的にドル安傾向は変わらないと思われるため、せいぜい2月14日の108円60銭付近まで戻すのが精一杯なのではないか。
例年、10~11月には米金融市場が動揺することが多い。昨年はサブプライム・ローンを組み込んだ証券化商品が軒並み格付け機関から大幅に格下げされたことで、銀行が巨額な引当金を積み増す必要に迫られ、相次いで大幅な減益決算を余儀なくされたため、株価の急落とともにドル安が進んだものだ。今年はサブプライム問題を米国の資産バブル崩壊の第一幕とすれば、第二幕として商業不動産市況が崩壊しつつあり、この問題がこの時期に噴出する恐れがある。このローンを証券化して他の金融商品と合成した証券化商品の規模はサブプライム関連をはるかに上回るといわれているだけに、これから米国の金融機関はこれまで以上に資本不足の危機に悩まされる恐れすらある。いうまでもなく、こうした状況ではFRBはさらに積極的に利下げを推進せざるを得ないため、再びかなりドル安圧力が強まることが想定される。また北京五輪が終わると、国内の資産バブルや物価高を抑制するために中国が人民元を大幅に切り上げる公算が高いことも、円相場に対する強力な支援要因になりそうだ。それにより、今年後半の下降局面では101円台の強力な下値支持を割り込むことが避けられず、それにより個人投資家も総崩れ状態になって投げさせられてしまい、来年1月には95年4月19日の79円75銭の円相場史上最高値付近まで下げていく可能性もあり得るのではないか。(3月12日、談)






